(株)ルネッサンス(千葉県)廃庫処理システム本稼動
「使用済み自動車リサイクル事業」を行うため昨年 9月30日に設立された(株)ルネッサンス(資本金2.000万円、従業員数11人、千葉県君津市人見町1465-1、佐藤逸郎社長)が今年4月、本格的に操業を始めた。清潔感ある本社工場(敷地面積約9千u)には自動車解体ラインのある工場棟(約2千u)、事務棟、それから全面舗装された使用済み自動車置場がある。ここで同社は月間1.000台の処理を目指している。
(株)稲垣製作所製プレス機設置
東関東館山自動車道の木更津ICから約4km、新日本製鐵(株)君津製鉄所を右手に見ながら国道16号を南へ数分のところに、(株)ルネッサンス本社工場がある。同社は(株)製鐵運輸の100%出資で資本金2.000万円、従業員11名(事務所6名、工場5名)で操業している。敷地面積約9.000u、工場建屋面積約2.000u。敷地内は事務棟、工場棟、部品置き場、それに全面舗装された使用済み自動車置き場がある。工場内には1本の自動車解体ラインがあり、月間処理能力は、1.000台。屋外には約400台の使用済み自動車が整然と並べられており、一見するとカーディーラーのようだ。同社佐藤逸郎社長は「リユーズ(再利用)がリサイクルの基本です。」と語る。ここが再利用可能な部品の回収、販売の拠点となる。解体作業は通産省、自動車工業会などのガイドライン通り解体機を使わず、廃油の回収処理から、エンジン、足廻り、その他部品の回収まで手作業で行うなど環境問題には充分配慮している。処理工程は解体ラインに使用済み自動車が置かれ、危険物、公害発生物の除去、部品回収、分別処理と流れ作業で進められる。全て手作業のため、作業員の働きやすさを考慮した同社独自の工夫も凝らしている。例えばエンジン、足廻り部分の部品回収用の自動車反転機は床を掘り下げたかたちで設置されている。これは作業員が立った姿勢のままで解体作業を行えるようにしたものだ。自然環境と作業環境、両方に取り組んでいる同社の姿勢はこんなところにも伺える。今年9月までに1人当り月間100台、合計500台の処理を目指し、最終的に月間1.000台を計画している。将来、解体ライン2本で月間2.000台の処理を目指す。使用済み自動車解体処理の最終工程には、(株)稲垣製作所製スクラッブカープレス機「SCP150T」を使用している。「SCP150T」の仕様は、プレスシリンダ能力76トン×2.150トン。投入ケース寸法5.200(W)×2.000(H)×2.000(L)mm。製品寸法1台押し約250mmで3台まで重ね押し可能。電動機AC200V、30kw、4P、両軸1台。1サイクルは約45秒、高効率設計となっている。操作方法は全自動式、手動式が選択でき、誰にでも簡単に使える設計になっている。油圧ユニット(ピストンポンプ1台、ギアポンプ1台)は、本体上部にありコンパクトな設計となっている。また無線装置の設置でフォークリフトからの遠隔操作も可能である。同社佐藤逸郎社長は「実際稼動しているカープレス機をいくつか見て回ったが、その中で(株)稲垣製作所製のカープレス機が性能の面、設備信頼性の面で最も良かった。稼動状況にも満足している。」と語る。更に設備稼動時の騒音を45ホーン以下に落とすために、本体上部の操作可能な油圧ポンプぴっとの床面、壁面に充分な防音対策が施されている。環境、騒音対策に真剣に取り組んでいる(株)ルネッサンスとすれば、こういった対応の良さも稲垣製作所製カープレス機導入のきっかけとなった。
1都3県から集荷可能
使用済み自動車リサイクル業では、集荷が大きなファクターを占める。同社では陸、海による輸送の併用でこの問題を解決している。特に海上輸送では、新日鐵・君津製鉄所からの製品輸送に使われているフェリー(横浜へ1日4往復、市川へ1日6往復)の帰り便を使って集荷を行っている。このフェリー1隻で約130台の輸送が可能だ。陸送のみでは約100km圏内ね千葉県内に限定される。しかしこのフェリーシステムを活用することによって、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県からの集荷を可能にしている。また集荷コストの面からも有利であり、このフェリーシステムは同社を特徴づける最大の要素となっている。また集荷した自動車は1台ごとに管理され、集荷日と車名さえ分かれば、現在どこに保管されているか、どう処理されているか分かるようになっている。今のところ部品の回収と販売に専念しているが、同社は産業廃棄物収集運搬の資格を得ており、現在中間処理の資格も申請中だ。今後は問題となっている放置自動車の回収も視野に入れつつ操業していく。
中世、時代を大きく変えることになった「ルネッサンス」を社名にした同社が、自動車リサイクル事業、環境問題にどんな新しい息吹を吹き込むのか、注目していきたいところだ。
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