越路金属(茨城県岩井市) 稲垣製作所大型鋳物破砕機設置
スクラップブレイカーSB1500T型
故銑破砕自動化へ第一歩
ユニークな発想と強い実行力で知られる有限会社越路金属(代表取締役 永井久二氏、本社=茨城県岩井市馬立南の台1256、資本金2500万円)では、このほど稲垣製作所製スクラップブレイカーSB1500T型を設置、順調に立ち上がっている。これは大型鋳物破砕機であり、SB1500T型の仕様は(1)投入ケース寸法=幅2000×高さ1500長さ1400各ミリ。(2)作業テーブル寸法=幅2000×長さ4000各ミリ、(3)テーブルストローク1600ミリ。(4)破砕シリンダー能力=750×2、150トン。(5)送り込みシリンダー能力=22トン×2=44トン(6)油圧ポンプ=ピストンポンプ3、ギアポンプ2。(7)モーター=55kw・4P×2、37kw・6P×1。(8)刃物寸法=下刃高さ170×長さ152各ミリ2本。(9)上刃高さ200×長さ1400各ミリ3本。(10)全自動式と手動式、押刃速さ毎秒70ミリとなっている新鋭機。越路金属は、鋳物用原料の配合甲山、故銑扱いを主力とする鉄スクラップヤードディーラーであるが、製品のほとんどは、商社を通じて販売しており、鋳物メーカー向けというと最先に心配される不渡を食う不安はなく、リスク管理は確りしている。最近では、バランスウェイトのトップメーカー音頭金属向けに、ウェイトの原料として鉄鉱石を一手に供給しているほか、一般電炉向け鉄スクラップなどが、同社の主な扱い商品である。越路金属は、1973年(昭和48年)第一次石油シュックで大揺れの時代に現社長の永井久二氏が、たった一人でトラック1台を動かしながら創業、鋳物原料を主力にしたのは、鉄スクラップ業者としては後発なので、大手スクラップ業者が余り力をいれず、または他の業者が取扱いから撤退してしまったような商品にマトを絞って、事業を展開してきた。同社の扱い品目をみると一般スクラップ業者とは一味違い、どちらかというとスクラップの中で「隙間」(ニッチ)的な特殊な商品を扱って行こうとする経営姿勢がうかがわれる。今後更に故銑扱いを増やして行こうとしているのも、そうした戦略によるものといえよう。したがって、今回の鋳物用大型破砕機の設置稼動以後については、まず配合甲山加工の自動化・合理化推進、その後、一般スクラップの設置見直しというステップになる見込み。これまで足カセとなっていた住友商事と合弁で設立したシュレッダー事業会社「コスミック・メタル」の失敗にともなう債務もすべて昨年で解消、これからは重荷のない活躍と発展が期待される。いずれにしても、創業以来25年であるが、年間扱い高は10万トンを越えつつあって、じっくりと成長する構え。
目標は1500トン
このほど大型鋳物破砕機を設置した理由は、まず故銑が一般スクラップに比べてマイナーな商品で、大手の扱い業者がいないこと。もう一つは、今までのギロチンシャー、ダブリングシャー、門拳などによる破砕方法が、加工処理上、非能率かつ危険であることの二つが、永井社長によって指摘されている。稲垣製作所のスクラップブレイカーを選んだのは他社で稼動中の同機の実績を高く評価したためといわれる。当面の加工処理目標としては、月間1.000トン程度を見込んでおり、最終的には1.500トンを目指すことになる。現在、破砕機の附帯設備として、ユーザーのニーズに応じて、破砕した物を自動選別する装置の増設を計画しており、こうしたものが全て完成してから本格稼動に入る予定。越路金属のヤードは第一と第二工場があり、第一は49170平方米(14900坪)、第二は4920平方米(1490坪)と広大な立地に恵まれている。鉄スクラツプ加工処理業については、やり方次第では良い商売と考えており、事業の将来には楽観的。
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