ユーザー紹介  瀧金属様 (SPS500T)

結城金属様
関口商店様



      ギロ導入で基盤強化  瀧金属(東京都)

 「穏やかに景気は回復」という巷の声も空しく、依然として低迷をつづける製鋼原料市況。最終需要となる建築の冷え込みから、電炉各社は減産によって鋼材価格をどうにか維持しようと懸命だ。このため原料となるスクラップの需要は極めて低い。また反落した海外市況、さらには厳しい仕入競争が追い討ちをかけ、鉄スクラップ業者の悲壮感は各地で募るばかりだ。が、意外にもその一方で、設備投資が堅調となっている。なかでも高い固定費に苦しむ大手業者を尻目に、中小業者の積極的な投資が目だってきた。人気を集めているのは、基礎工事不要の簡素なプレスやコストパフォーマンスの高い小型、、中型ギロチンだ。本誌では、しばらく続くと思われるこのような設備投資動向を探るため、小型ギロチンを導入した東京都の瀧金属を訪れてみた。

首都圏の土地ハンディを克服

 東京の下町風情豊かな荒川岸。川の土手伝いに沿って走る首都高速。覇を競うように軒を連ねる町工場の屋根。狭く複雑に入り組んだ路地を歩くと、金属粉と油の香りをのせた風が、鼻先をかすめていく。賃貸マンションに追われ、いつの間にか忘れかけていた風景が眼前に広がる。東京都足立区。バブル崩壊以降、円高で空洞化の進んだ首都圏の工場地域を訪れると、一種独特のノスタルジーが胸中に去来する。 だがねそんな下町のイメージとは裏腹に、町工場の火は消えてはいない。戦中派が去り、世代交代が進むにつれ、若い経営者たちが次々に現れ始めた。今では陣頭指揮を自ら取って、新しい感覚で方程式を解き、これまでにはなかった答えを見い出そうと、様々な試みを繰り広げている。瀧金属(東京都足立区梅田3-3-22、瀧ヒサ子社長)も、まさにこのような若い力を原動力にした鉄スクラップ業者だ。同社は8月下旬、約400坪の工場に都市型タイプの500トン・ギロチンシャーを初めて設置した。鉄スクラップ事業と平行して、同社の主力事業の一つであった電解錫の作業場を閉鎖して、機械は据えつけられた。今回の設備投資は、先代の子息でもある若い瀧正訓専務が家業を継いでから下した決断のなかでも、最も大きなもののひとつとなった。「設備投資の計画は昨年の春ごろに、頭の中で出来上がっていた」と瀧専務は語る。同業者の設備見学や処理機メーカーとの相談を進める過程を経ながら、今年に入り正式な契約を交わしたという。「首都圏にヤードを持つスクラップ業者の悩みは、なんといっても土地の問題。十分なスペースが確保できない。また近隣への振動・騒音の配慮と対策もある。さらには製造業の低迷から材料発生の減少もあり、事業の継続も容易ではない。だが、ただ手をこまねいて見ているだけではジリ貧になることは明白だった」。処理機導入という道の選択には、事業継続への意欲的な姿勢だけではなく、仕事自体の構造的な変化や、将来的な展望も見据えたシビアな判断が背景にあったといえる。

稲垣製ギロ、都市型として人気定着

このたび同社が選定した機種は、稲垣製作所製ダブルクランプシャー・SPS500T型。切断圧500トン、主動力は75kw100馬力。切断ブレード長さは1.800mmの設定で、投入ボックス寸法は1.800mm(w)×800mm(H)×5.500mm(L)となる。材料送り装置は油圧モーターによるチェーン駆動式。そのため本体全長は8.100mmというコンパクトな仕上がりをみせる。サイクルタイムは一工程で約40秒。幅寄シリンダーと2本の押えシリンダーを効果的に使うダブルクランプと呼ばれる方式で、嵩比重の高い切断処理が可能となる。機械本体には防振装置が施され、高いレベルで振動が解消されている。油圧ユニットは、吸音剤を内張してケースに収まり、騒音対策も十分に考慮される。同機は省スペース目的で開発された、都市型タイプのギロチンシャーだ。 「プレスのメンテナンスをお任せしていた関係で、今回の機械は稲垣製作所さんにお願いしたいと考えていた。首都圏の業者が抱える様々な問題に対応できる機械を設備しなくてはならなかったわけだが、本体サイズ、切断能力、振動、騒音などを考慮して、都市型タイプのダブルクランプシャーに決定した」と瀧専務は語る。 同社は、先々代が当地で創業。昭和30年代初頭に入ってから、先代が会社を組織化し、これまで上級グレードのスクラッププレス加工と電解錫を主軸に事業を展開してきた。そして現社長から若い専務へと主導権が移行しつつあるいま、切断機導入でスクラップ加工一本化に踏み切った。決断が早く、行動は慎重という瀧専務。金属粉と油の香りにまじって、業界内に新鮮な風が吹きはじめた。




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