三升商事(茨城県)産業廃棄物リサイクル工場を新設
産業廃棄物収集運搬業の且O升商事(久野利明社長、茨城県東茨城郡美野里町羽鳥3047-2、電話299-46-4605、従業員10名)は、このほど産業廃棄物のリサイクル工場を新設した。これに合わせて、現在、産業廃棄物中間処理の許認可を申請中で、10月下旬頃に許認可を取得する見込み。新工場は、中間処理の許認可取得を待って、11月初旬にも操業を開始する予定だ。 新工場には既に、500トンギロチンシャー(稲垣製作所)、選別ラインを設置済みだ。この一連のラインで、ギロチン処理した産業廃棄物から、磁力選別、振動選別、手選別の三段階の選別作業で金属スクラップ、木くずなど八品目をそれぞれ回収する。
稲垣製作所500トンギロを導入
且O升商事は、昭和56年の操業以来20年にわたって、産業廃棄物の収集運搬業を営んできた。しかしながら、埋め立て最終処分場の逼迫により処分費が高騰するに及んで、収集運搬業だけでは今後の業の発展は見込めないとの経営判断から、中間処理業へ業容を拡大し、茨城県内初となる産業廃棄物のリサイクル工場を新設することを決めた。同社が新設した産廃リサイクル工場(茨城県東茨城郡小川町野田大沼頭1478)は、総工費約5億円、敷地面積約千二百坪(建屋約六百坪)で、処理設備はギロチンシャー(1機)、選別ライン、投入用及び積込み用重機(2機)となっている。処理設備は工場建屋内にすでに設置済みだ。同工場の処理能力は36トン(1日)を見込んでいる。また、同工場ではダストの飛散を防止するため、選別処理工程は全て工場建屋内で行う。そのため工場前面、側面はガラス、鉄板張りとなっており、工場内の明るさは申し分ない。 久野社長が自らレイアウトした選別処理工程は、まず回収した産業廃棄物をギロチンシャーで約30cm大に切断し、選別ラインに乗せる。選別ラインでは、1本のラインを磁力選別、振動選別、手選別の三段階に分け、金属、故紙、プラスチック、木くず、繊維くず、ガラス、ゴム、コンクリートの8品目を分別回収する。回収した8品目はそれぞれリサイクル業者へ出荷する。これにより、回収された産業廃棄物のうち約50〜60%がリサイクルでき、埋め立て最終処分されるダスト量を大幅に圧縮することが可能となった。 処理工程の最初に使用するギロチンシャーは稲垣製作所の「SPS500Tシングルクランプシャー」を採用した。同機の使用は、切断能力500トン、クランプシリンダ能力100トン×2、投入ケース寸法1800(W)×1000(H)×6000(L)、100馬力となっている。また外形寸法は6400(W)×5300(H)×9100(L)とコンパクトで、都市環境に配慮した低振動、低騒音設計となっている。
第2・第3工場新設に意欲
且O升商事は、リサイクル工場の建設により、産廃収集運搬業から中間処理業(収集運搬業も含む)へ業容を転換することになるが、同社の業容転換は実は2回目。同社の前身となる久野商店は、県内では老舗の鉄スクラップ問屋だった。しかし鉄スクラップ市況の下落や環境規制の強化などから、業容を産廃収集運搬業に特化し今日に至っている。創業20年を経た今日、建設廃材リサイクル法など各種リサイクル法の制定で、時代は制度化によるリサイクルの方向に向かっている。そのため「収集運搬業だけでは厳しい時代だ。(リサイクル工場の新設は)どう生き残るかを考えた結果だった。」 (久野社長)という。 同社の売上は収集運搬業だけでも好調に推移しており、来期の売上は今期の50%増が見込まれている。しかし、リサイクルに向かう時代の流れを受けて「先手を打った」ことになる。「久野商店の創業時は、鉄くず、故紙、古びんなどあらゆるものを扱っていた。時代が回って、再びその頃の扱い品目に戻ったようだ。」と久野社長は話す。リサイクル工場の操業開始は11月初旬になるが、同社ではすでに第二工場、第三工場の建設を考えている。まだ具体化していないが「他社と提携して行いたい」意向のようだ。廃棄物の選別・リサイクルは、埋め立て最終処分場が逼迫する中、今後ますます脚光を浴びることになるだろう。今後の動きが注目される。
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