牛oシ金属(千葉県山武町) 3方締めプレス機(稲垣製作所)を導入
千葉県の有力非鉄スクラップ・ヤード・ディーラーの牛oシ金属(高松重郎社長、従業員22名、千葉県山武郡山武町木原2397-52、電話0475-88-2275)は、このほど3方締めプレス機(100馬力、稲垣製作所)を導入した。同社はナゲットによる被覆銅線処理を手掛けてきたが、バブル崩壊以降扱い量が低下してきたことから、アルミ、ステンレスなど扱い品目を拡大してきた。一方、非鉄市況の下落を受けて、銅、アルミなどの輸出が増加傾向にある。同社でも輸出向けに被覆銅線、ビス付きアルミサッシなどを出荷するケースが増えてきている。特にアルミサッシの輸出の場合、プレス処理が必要になるため、このほどプレス機を導入した。
非鉄スクラップ、海外輸出が活発化
同社は昭和54年に千葉県八街市で創業。その後、平成元年八月に現工場に移転した。同工場のある山武町は千葉県の内陸部に位置し、成田、東金の両市を結ぶ国道409号線から、車で約5分ほどの場所にある。同社の月間扱い量は、材料ベースで銅線約500トン、アルミ約100トン、ステンレス約50トンなどだ。工場敷地面積は約7千坪で、ナゲット工場、プレス工場、事務所棟があり、処理機械はナゲット・プラント、ギロチン(ナゲット前処理用)、プレス機などがある。このほど導入した3方締めプレス機は、稲垣製作所の「3SP250L」。同機の仕様は、切断能力280トン、100馬力、自動押出し式、1サイクル約90秒、製品寸法・幅500mm、高さ650mm、長さフリー等となっている。同社がプレス機の導入を計画したのは、海外からの引き合いが強まり始めた3年ほど前。それまで同社ではアルミの扱いを除々に増やし、アルミサッシなどはバラ積みで国内合金メーカーへ納入してきたが、輸出向けに出荷するためにはプレス状にする必要があるため、導入を決めた。導入にあたっては、高松社長自ら数ヶ所のヤードに出向き、実際に稼動している機械を見学したうえで、稲垣製作所を選んだという。最終的には充実したメンテナンス・サービスが決め手だった。「自社の扱い量に最適で、作業能率も計算通りに稼動している。」と高松社長は評価している。
産業廃棄物 中間処理の認可取得へ
同社は創業当初から被覆銅線の処理を手掛け、現在でも大型のナゲット・プラントが稼動している。一時期は材料ベースで月間1千トン程度扱った頃もあったが、バブル以降扱い量が除々に低下。また人件費、ダスト処分費の上昇から、「国内処理は年々難しくなってきている」(高松社長)という。被覆銅線の処理は、近年、人件費の安い中国で活発化している。中国では国内需要が増大しているうえ、日本に比べ圧倒的に安い人件費が人海戦術による処理を可能にしている。最近では、中国人ブローカーが直接同社まで買い付けに来るケースも多い。こうした背景から、同社では被覆銅線の扱いのうち約六割を輸出するまでになっている。そのため同社では、アルミ、ステンレスなど扱い品目を増やし、「鉄、紙以外なら何でも扱う」総合非鉄ヤードとして業容を拡大してきた。しかしこうした傾向はその他の品種にも及び、ビス付きアルミサッシの輸出も昨年11月頃から急増している。一方、各種リサイクル法が施工され、「リサイクル」、「適正処理」が社会的関心を集めるに及んで、排出先からマニフェストの提出を求められるケースが増えている。そのため非鉄スクラップ業界でも産業廃棄物の収集・運搬、中間処理の許認可を取得する動きが出ており、同社も現在、中間処理の許認可を申請中、年内にも取得する予定だ。輸出の急増、産業廃棄物の許認可の取得など、非鉄スクラップ業界を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。これに対応する動きが今後活発化しそうだ。
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