大島商店(埼玉)工場リフレッシュ
(有)大島商店(大島昇社長、埼玉県比企郡川島町)ではこの度、稲垣製作所製1.200トン圧スクラッププレスシャーを導入、同時に現在の工場敷地内に170坪の建屋を建設し、三國重工製天井走行クレーンを新設した。7月下旬には試運転を終え、本格稼動に入った。合理化を果たした大島商店に関係者は注目・期待している。
稲垣製作所製1.200トンギロチン稼動
大島商店のヤードは、川越市から東松山方向へ走り越辺川を超えた右手、豊かな田園風景の中に立地する。 新たに設置された稲垣製作所製ギロチン「SPS1200T」は、ヤード入口から見て右手、新設した建屋の壁に沿って東西に据え付けられている。仕様は次のようになっている。切断能力1200トン。クランプシリンダ能力150トン・・2本。サイドプレスシリンダ能力78トン。駆動能力200V・37kw・6P・両軸3台。刃巾1800×1000×350ミリ。投入ケース寸法1800×750×6000ミリとなっている。同機の特長は二段クランプ方式で製品が崩れにくく、しかも高荷重切断構造により、付加価値の高い製品ができる。2段クランプ方式は、投入された材料を第一クランプでサイドプレスまでプレスし、次の段階ではサイドプレスで第2クランプまでプレス。再度第2クランプまでプレス。再度第2クランプで最終クランプし、二方向で押さえたまま切断する方式。これにより荷姿が崩れにくい状態で切断できるというものだ。シャーリングの心臓部である刃物受・上刃カッタースライド・カッタースライド主軸部の3ヶ所の強度を大きく高めている。特にカッタースライド刃主軸支点を下刃より更に下におき、切断力をカバー出来るように設計されている。これらによって自信の高荷重切断構造となっている。大島商店に納入するにあたり、油圧配管に若干手を入れ、切断スピードを高速化している。同機はこれまでの納入実績では、トラブルが発生しておらず、何といっても故障知らずなのが良い点だ。 このほか新設した建屋には三國重工製リフマグ付天井走行クレーンが設置された。従来からのシャーリング機3台。神鋼コベルコ建機製ユンボなどと合わせ、作業性が向上している。
安定経営の影に内助の功
大島商店は現在の社長が2代目、先代の頃は、金属以外にも紙やウェスなども手懸けたこともあったようだが、今の社長になってからは金属原料の売買1本に絞り、商いを営んでいる。先代から川越市内で商いを続けてきたが、11年前に今の川島町に移って来た。仕入は解体物中心で、鉄スクラップ納入先は、向山工場、日本鋳鉄管などに(株)タカセキを通し納入している。非鉄の扱いも一定のボリュームを持っており、アルミ・真鍮などを中心に扱っている。大島社長は「先代からこの商売を続けて来たが、今の社会情勢では、スクラップ業より産廃業の方がメリットがあるような気がする。だが産廃業とこの商売はセットであり、スクラップ屋もなくてはならない商売ではある。この商売を続けるならそろそろ設備をする時と考えた」又、息子さんがこの仕事をやるかどうかはまだ解らないが、息子さんがこの仕事に入った時のことを考えてと今回の設備導入に踏み切った考えを語っている。「今回ギロチンを始めとする設備を導入したわけですが、扱い量を今以上に大きく増やそうとは思っていません。加工賃によって電気代と借金が払えればよいのです。大体この商売は、GNPの伸びと比例しており、近々に急激に景気が上昇するとは考えていません」と今後の短・中期的な先行きについても、欲がなく冷静に見据えている。このように、淡々と語る大島社長だが、経営の一端を大きく支えているのが内助の功である。経営に又現場でも奥さんの助けが生きているようだ。取材に訪れた日は真夏日で、大変な暑さだったが、社長夫人である奥さんも現場に出て、手際良くシャーリングでの切断をこなしていた。そして計量からお客さんの応対・従業員の方へお茶を出したりと大車輪で協力している。大島社長がいつも笑顔で安定経営できるのは、奥さんの協力や、優秀な従業員に支えられている面も大きいようだ。
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